妄想と現実の間

妄想と現実の間

Yasushi Takahara oil paint

高濃度スプリングの餌

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~解説~

油彩 M30号( 910×606 )

個展を開くときは一枚必ず桜の絵をフラグシップ機ばりにメインに持ってくるが、この時の桜の絵はメインではなかった。

 縦長の絵を描きたかったのでハマってたM30号を使用したが、このころより画材の高騰により一枚が限界。

春の訪れ、眠りから覚めた人は、春の瘴気が濃すぎるので冬眠から覚めたカエルのような型の防護服を着て鉄橋っぽい小さい渡しの橋を釣り竿をもって歩いている。餌となる猫を針に結んで、狙うのは橋の下を泳ぐアロワナ。

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しかしよく見ると、アロワナの一部のうろこが剥げている。猫を餌にアロワナと釣るというより、猫の餌のためのアロワナである。何度か挑戦してやっとうろこ一枚をはがしようやくたどりついた肉部分。(もし猫が食われれてもいざとなったら釣り上げる覚悟!)飯にありつけることができるのか。

腹を満たすとは生きるということである。

東日本大震災の時、満開の桜並木を歩く防護服姿の作業員が歩いている写真がネットにあった。それが現実だといわんばかりのインパクトであった。

ニワトリは2匹いる。

 

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個展名 ~『それでも』と言い続ける展覧会 より~

この個展のタイトルは、自分が好きな小説家が作品の中の登場人物がよく言っていたセリフをもとに、どんな状況でも『それでも』と心に言い聞かせ立ち向かっていく人を描いた作品群です。深刻な問題から、そこまで重くない問題まで、いろいろな状況の人たちが出てきます。

 

~個展時の説明分より~

防護服を着ないといけないような大気濃度の中でも自然は美しいく、そして無慈悲である。

そのような中でもお腹は減る。

ひと狩りしようぜ!!食うか食われるか。

猫は甘いものを認識しない。エビ、カニイカも取りすぎるとよくない。

ノンアルビールはいけるクチ。